私は学生時代、臨床工学技士とは現場で引っ張りだこで機械に詳しく、色んな現場で活躍している印象であった。実習病院では臨床工学技士は医師の相談役になっていたり看護師さんから頼られていたりとすごい人という印象が強かった。でも現実は働き出すと…というギャップは少なからずあるモノですよね。今回は理想と現実についてである。まだ学生の方や働き出してまだギャップに慣れていない方に向けてのテーマである。ベテランさんはあるあるネタと思い軽く見て頂けたらと思う。
今回の記事でわかること
・学生時の理想と働き出してからの現実の具体例
・現実の壁と対処法
・あるあるネタで自分だけじゃないんだという安心感
学生時の理想について
学生時の理想は実習病院や講義で学んだ内容からこのような業務を行うだろうなと思いながら学んでいるだろう。臨床工学技士の資格の特性上、広範囲に色んな分野を広く浅く学ぶ必要がある。臨床工学技士は病院によって業務がまちまちなので講義や実習で色んな業務や対応をしている場面を見せられる場面が多い。実習で付き添ってくれる方がめちゃくちゃできる方なので周りから頼られておりそのオールマイティな感じがすごい人だと感じる人も多いだろう。就職するとき夢と希望、若干の不安を抱えていた方も少なくないはず。次の項からは理想と現実のギャップの具体例を書いていこうと思う。

正直、病院に勤めると講義や実習で学んだ多くの知識は使わないことも多い

臨床工学技士は医療現場のハイテクノロジー化になったため現場の看護師さんなどが対応しきれない業務を臨床工学技士で賄うため国家試験で専門的な内容の基礎を広く浅く問われるため学ぶのである。国家試験のために覚えたりするのは非常に有効であるが実際、あなたが就職する職場によって多くの知識が使うこともなく働き出してから「あの時、色々な内容を覚えたのに…全然使わないじゃん!!」と思う時が来るかもしれない。多くの臨床工学技士は透析業務やME機器管理に関わることになり、人工心肺、手術現場、心臓カテーテルの業務のすべてに関わる方は非常に少ないだろう。
病院に勤めた段階で心臓カテーテル業務等がない施設に入った場合業務拡大する確率はあまり高くない。病院もある程度倹約しないといけないので設備投資や専門の医師、看護師等の確保など初期投資にお金がかかるためである。ある程度の見込みがつかなければ心臓カテーテル等の業務にかかった初期投資、人件費等維持費を捻出できないからである。なので原則今行っていない業務は行わないと考えていた方がいいだろう。その段階で心臓カテーテルの知識は使わないことになる。
このように多くの知識は実際使わずに終わることも多いのも事実である。臨床工学技士の常識として扱われる場面もあるので、そこは割り切るしかない部分になる。逆に心臓カテーテル業務に就くと透析業務をしない所も多いのでどちらをとるのかという話になるので割り切る方が早い。
働き出して自分がしたい業務が病院に無いもしくはあまり稼働していない時は、思い切って転職なども検討するのもいいだろう。臨床工学技士は専門職の一面もありそこの経験年数で色々見られる場面も多いので症例件数を稼げない施設でとどまっているとその分次の転職が難しくなってしまう。病院としての売りのようにほぼ行っていない業務も行っていると読めるような詐欺まがいな求人もゼロではないので学べることがない施設は長居しないことが好ましい。特にやりたい分野がすでに決まっている方は若いうちからその分野の強い病院に転職することをオススメする。資格の面で経験年数が必要だったり、症例件数が必要な場合があるからである。
学んだことだけじゃ足りない
先ほどの項とは対照的に臨床工学技士の国家試験は臨床工学技士の常識としての知識を詰め込んだ国家試験のため、透析業務、呼吸器などの基礎部分だけでは全然知識が足りない。
透析業務もそうであるがその病院によって採用している機材や器機が異なるからである。
私の話にはなるが最初に勤めた病院はNIPRO製のコンソールであり血液回路にピローがあったり、採液ポートから排液ポートに透析液を流してプライミングをしていた。しかし現在の職場ではTORAY製のコンソールで血液回路にピローはなく、プライミング方式も逆濾過でカプラから満たす方法である。
呼吸器に関してもザビーナ、ハミルトン、サーボなど色んな機械がありそれぞれ特徴や院内の使い分け、また基本モードの表現方法やできること、できないことなどが異なる。それらすべてを学んでから入るのは現実的ではないので入職してからも勉強が必要になってくる。もちろん職場での教育で教えてもらえる部分もあるだろうが自己学習しておかないと困るのは自分なので少なくとも関わる可能性がある分野の勉強だけでも自己学習することをオススメする。
やることに困ったら院内で見た機器や用語のわからないことを一日一つ調べていく自己学習が比較的続くので試してみて欲しい。
臨床工学技士って機械専門なんじゃないの!?

専門学校などで色んな機械の原理や種類、使用法、特性などを覚えたりといった経験をして機械のエキスパートとしての勉強をしてこれから機械専門になるんだと働き出してみたら思った以上にコミュニケーション力が必要で大変であったことに気付くだろう。
専門学校ではあまり追求されていないが臨床工学技士は機械専門ではありません!!というと語弊はあるだろうが生体などにも詳しい必要があるし、相手方の話からどのような答えを求めていてそれを相手に理解できるように表現するかを求められる。普通に同僚や患者や看護師と話す必要があるのでコミュニケーション力がしっかりいるのでコミュ障だから機械専門の臨床工学技士を…と考えている方には正直厳しい現実が待っているだろう。
コミュ障や人見知りの方はとりあえず職員、患者含めすれ違う人に挨拶することから始めていきましょう。毎日挨拶をしていると向こうの方から話を振ってもらえたりするので少しずつでいいので話をしてどんどん話せるようになっていけるように練習していこう。
急に1人のプロとして扱われる
新入職の方が一番びっくりするのは入ったばかりの学生気分を一瞬で吹っ飛ばす出来事かもしれない。病院あるあるなのかもしれないが患者から見て制服を着ている人は皆プロであり先生なのであるという考え方である。入職1週間でプロ扱いされ有資格者として自覚を持たされたのである。正直、学生から急にプロになれるわけはなく、私は不器用だったので尚更迷いやプレッシャー、不安を抱えつつも頼れる先輩の背中を追っかけ一心不乱に自己学習をした。結果としては患者側からの期待も応えようとしてどんどん成長できたと思うので自分の有資格者なんだと誇りを持てるように自己学習をすると良いだろう。
患者のみならず看護師などにも同様にいち臨床工学技士として扱われるので自己学習に取り組む方がこれからの長い人生楽に過ごせるだろう。
何でも屋として扱われる場面も
臨床工学技士は思った以上に何でも屋として使われている病院が多い。臨床工学技士という仕事が院内で根付いていないから仕方ない部分もあるのであるがホント何でも屋だなーと思う時がある。
下記の具体例は私が経験したことである。正直これ臨床工学技士じゃなくない?という事案がほとんどである。
例えば
・(臨床工学技士は男性が多いため)全介助の患者の移乗
・「モニターが映らなくなったからどうにかして、私は別の業務しとくから」と丸投げされる
・聴診器の調子がおかしいから直して欲しい
・テレビが映らないから直して
・犬猿の仲看護師の伝書鳩として伝言してきて など
上記からもわかるように割と現場に良いように使われている職業ともいえるだろう。
何でも屋度合いは入職した病院内での臨床工学技士の浸透率によって大きく異なる。臨床工学技士の立場がしっかり確立している所ではあまり何でも屋として扱われることは少なく、臨床工学技士の立場が曖昧な所は「これ臨床工学技士かどうかわからないんだけど…」という枕言葉を付けて色んなモノを依頼される。
どうしても何でも屋ではなく臨床工学技士としていきたいと考えるのであれば臨床工学技士の人数が多く、立場を確立している病院を探すと良いだろう。

まとめ
・専門学校の講義や実習で学んだ知識は思ったより使わないことが多い。
・臨床工学技士の国家資格で学んだ知識だけでは働くためには知識が足りない、最初は働いた病院で使っている機器やその日出てきた用語について1日1つの自己学習から始めることをオススメする。
・臨床工学技士は機械専門というイメージが強いかもしれないが現実は患者や看護師等他職種と話すため必然的に人と関わりコミュニケーション力がいる職業である。
・入職直後から急に患者や看護師等からプロとして扱われる場面も多いため覚悟しておかないといけない。
・院内での何でも屋として色んなモノを見て欲しいと言われることがある。院内の臨床工学技士浸透度合いによりこの何でも屋として扱われる頻度などが変わる。

資格・スキルアップランキング
2026年5月22日 初投稿

コメント